メゾチントの版画
7世紀の半ば頃、ドイツで発明された版画の技法です。
金属凹版にベルソーという櫛のような刃がついた器具で版全体に無数の刻みを入れたり、ささくれ状態の線をつくったりします。
さらにその上をバーニッシャーやスクレーパーという金属のヘラのような器具で、ささくれを削ったりならしたりして絵を描き、
刷る際にはインクを細かな刻みに擦り込んだ後に、刻みのない部分からは拭い落とします。
これにより刻みが残っている部分はインクの色が濃く現れ、刻みが削られたりならされたりした部分は、白く浮き出るという効果が得られます。
メゾはイタリア語で中間調という意味で、黒から白にかけての微妙な諧調を表現することができます。
油絵の複製品を作るのに適していたため、17〜18世紀には特にイギリスで大流行しました。
19世紀末の写真機の登場により忘れられた技法となっていました。
20世紀に入り、長谷川潔や浜口陽三が試行錯誤を重ね、美しい黒の表現を完成させした。
版の強さとしては最も弱く、50部〜80部が刷り枚数の限界といえます。